2017年に読んだ本まとめ

Keisuke Okumura | 奥村圭祐
12 min readDec 31, 2017

--

年間100冊読破を目指してはいたものの, やっぱり難しい… 去年と同程度なので, このくらいが自分のペースなのかなぁとか. ただ, 自分がどんな本を選んでどんな本を好きになったかはその年をよく表すと信じています. というわけで読んだ本を感想付きで紹介!

1. 戦争論 レクラム版 / カールフォン クラウゼヴィッツ #購入

年の初めは戦争論. どうしてこの本を読んでいたかというと, 組織論の片鱗に触れたかったのと, 戦争という学問をゼロから作り上げたクラウゼヴィッツの感覚を知りたかったから. 彼の死後, 奥さんが発刊しているという事実も好きだったり.

2. アンドロイドは電気羊の夢を見るか? / フィリップ・K・ディック

有名な SF. ブレードランナーの原作でもあったりします. 内容は全然違うけど. フィリップ・K・ディックが創り出す世界観は物語が進行するにつれてどんどん歪んでいく気がする.

3. ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 / マルコ イアコボーニ

ミラーニューロンって神経科学の文脈を超えて有名なワードだけど, 実際どんなものなの?って気になって手に取った本. 発見した時の興奮はすごかったんだろうな.

4. インターネットの思想史 / 喜多 千草

この本おすすめ. 博論の前半部分をベースに書かれた, インターネットがどうやって生まれたかの話. ARPANET が核戦争対策で生まれたっていうのは有名な “噂” だけど, 事実はもっと複雑.

5. ハーモニー / 伊藤 計劃

虐殺器官を書いた伊藤計劃の自作. ユートピアっぽいディストピアを描いていて, かなり好みでした. 残念ながら, 作者もう亡くなってしまっているんだよね.

6. 夏への扉 / ロバート・A. ハインライン

はい, 超有名なタイムパラドックス系SFです. 最後のどんでん返しが最高です. 大好きな物語の一つです. 言うことありません.

7. 幼年期の終わり / アーサー・C・クラーク

SF の古典です. 今年なんでこんなに SF を読んでいたかっていうと, 世界観の創り方の感覚を掴みたくて. 内容はかなり衝撃的. こういう “終わらせ方” もあるんだなっていう.

8. エクサスケールの少女 / さかき漣

電車の広告で見かけて読んでみた SF です. モデルは今話題のスパコンの人.あんまり面白くなかった.

9. 一九八四年 / ジョージ・オーウェル

SF の顔をした文学作品. 読める人と読めない人が明確に分かれると思います. 「夏への扉」の雰囲気と対称的なイメージ. ニュースピークのアイデアはけっこう影響されている気がする.

10. Self-Reference ENGINE / 円城 塔

なんだこのスルメ本. SF です. 20 世紀で SF のアイデアは出尽くしてしまった… みたいな話を聞いたことがありますが, そんな意見を吹っ飛ばしてくれるような内容です. そしてタイトル好き.

11. 接続された女 / ジェイムズ・ティプトリー・Jr.

サイバーパンクの原点ですね. ニューロマンサーよりも少し前にかかれた本. 今の時代にわざわざ読む必要もないと思うけれど, 歴史を抑えることは大事だと思う.

12. ウェルビーイングの設計論-人がよりよく生きるための情報技術 / ラファエル A. カルヴォ & ドリアン・ピーターズ #購入

買うべきか否かと迷って結局買った本. ウェルビーイングって曖昧な概念で, いくつもの定義とそれに対するアプローチがある. 自律性はやっぱりキーになるんだなと再確認したのだけれど, こういう系の話って意見が中庸化してしまう感じあるの僕だけかな.

13. 情報工学レクチャーシリーズ 分散処理システム / 真鍋 義文

研究室決まって即座に読んだ分散処理の本. 日本語だとこれ以外であまりいい文献がないっぽい. 分かりやすいです.

14. ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術 / アンドレアス・M・アントノプロス

仮想通貨は興味ないんだけど, ブロックチェーンの仕組みをちゃんと知りたくて読んだ. あんな感じの「お前それどうやって設計したんだ?」となるシステム大好き.

15. シンギュラリティ:人工知能から超知能へ / マレー・シャナハン

「人が主体のシンギュラリティ」が僕のテーマなので, ちゃんとした文脈を漁ってみようとトライした. 面白くなかったです. なんか思想に多様性がないんだよね.

16. スーパーヒューマン誕生! 人間はSFを超える / 稲見 昌彦

東大で Human Computer Interaction の研究をなさっている稲見先生の本. けっこう事例集的な側面が強い. SF をベースに話展開させていたので, 非常に読みやすかった.

17. 地球の長い午後 / ブライアン W.オールディス

はい, これも SF です. 作者の想像力に屈する本. どうやったらこんな世界観思いつくんだよ…

18. 空の都の神々は / N・K・ジェミシン

すずかけ台の図書館で見つけた. ネビュラ賞候補みたいだったから読んでみたけど, あんまり好きになれなかったです.

19. 月は無慈悲な夜の女王 / ロバート・A. ハインライン

こちらも SF の有名どころ. 同じ作者の「夏への扉」と違って, すっきりした終わり方はしない. 僕も革命起こしたくなってきた.

20. ゲーデル、エッシャー、バッハ―あるいは不思議の環 / ダグラス・R. ホフスタッター #購入(日/英)

2017 年で一番影響を受けた本であり, 多くの人に影響を与えた有名本です. こういう本がちゃんと読める人で良かった. 何を書いた本か?みたいな論争があったみたいだけど, 主張はけっこうシンプルだと思う.

21. ユービック / フィリップ・K・ディック

またもや SF. 僕もユービック欲しい. 電気羊の時と同様, 現実が歪み始める本.

22. 新版 アフォーダンス / 佐々木 正人

アフォーダンスも言葉としてはよく知っているんだけど, ちゃんと勉強したいなと思って読んだ. よく「誰のためのデザイン?」を書いた D. A. ノーマンの文脈でこの言葉使われますが, J・J・ギブソンがもともと提唱していた概念に触れることができた.

23. 統計クイックリファレンス 第2版 / Sarah Boslaugh #購入

統計をちゃんと勉強しました. 統計ってデータ解析やらないと分からないし, データ解析やるためには統計の知識がいるっていう面倒な学問なのだけれど, この本はそのループを破るのに最適だった. オススメ.

24–25. ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉/〈下〉/ リチャード P. ファインマン #購入

著名な物理学者ファインマンさんがありとあらゆる場所でイタズラ無双する話です. 読んでてニヤッとさせられてしまう本. こういう遊び心がある人になりたい.

26. 知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能 / 野口悠紀雄

知識というキーワードにずっと引っかかっていて, 専門じゃない人を対象に書かれたものを読みたいなと思って手にとった本. 目新しい情報はなかった…

27–28. 燃えよ剣〈上〉/ 〈下〉/ 司馬 遼太郎

こういう本も読みますよ?新撰組の土方歳三のお話. かなり脚色されていると思うけど, 嫌いではない. むしろ一気読みした.

29. 人工知能のための哲学塾 / 三宅陽一郎

人工知能研究してます!どやぁってタイプの人はざっくり二種類に分けられると思っていて, 哲学噛んでいる人とそうじゃない人. それはさておき, 非常に綺麗にまとまっている本で, 哲学入門の本としてもなかなか良いのでは?という印象を持ちました. (判断できる立場にはいないけど)

30–35. ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) / (下) / ミレニアム2 火と戯れる女 (上) / (下) / ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士(上) / (下) / スティーグ・ラーソン

幾つもの夜が吹っ飛んだ本. 今年一番ハマったシリーズものです. スウェーデンでは一時期ミレニアム読んでいないと話についていけないとか言われたそう…

36. 創造するアジア都市 / 橋爪 紳也

都市開発の雰囲気感が知りたくて, 手に取った本. 事例ベースで話は進むのだけれど, この規模の学問はどうも抽象度が高すぎる. こんな観点を持ってみたいですねー

37. 裸のプレゼンター / Garr Reynolds

プレゼンは決して下手な方ではないと思う. ただ, 一度ちゃんとhow-toを知ろうと思い立ち, ざっくりと眺めた. あまり面白みはなかった. 結局は練習あるのみ.

38. イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」 / 安宅和人

良かった!特にデータの分析の本質について. イラストも分かりやすい. 研究もビジネスもやり方は同じなのかなって感覚をもてた.

39. POST‐OFFICE―ワークスペース改造計画

場所に関する具体例を見たくて読みました. 奇想天外なアイデアが沢山あって見ていて愉快な本.

40. ネットワーク思考のすすめ : ネットセントリック時代の組織戦略 / 西口 敏宏

ネットワーク思考もけっこう言葉先行型だよね. 雰囲気は「インターネットの思想史」に似ています. よく調べてあるなぁと感心.たぶん僕らの世代は何も意識せずネットワーク思考を身につけているんじゃないかな.

41. 投影された宇宙―ホログラフィック・ユニヴァースへの招待 / マイケル タルボット #購入

唯物論を信じていたわけではないんだけど, 僕の中の唯物論を打ち砕いた本. いいなぁ, ここに載っているようなサイキックな体験が欲しい.

42. ローレンツ カオスのエッセンス / E.N. ローレンツ

ダイナミクスにおけるカオスを発見した一人でバタフライ・エフェクトで有名なローレンツによるカオスの入門本. どうしても研究で “群れ” を扱っているので, こういう類の話が気になってくるのだ.

43. 量子力学入門―現代科学のミステリー / 並木 美喜雄

20世紀の物理といったら相対論, 量子力学, カオスという認識. 科学本読んでると量子力学は避けては通れないので, 最低限の知識だけ抑えたかったのだけれど, 未だによく分からない.

44. やさしいC++ 第3版 / 高橋麻奈

C++勉強しなきゃとなったので, まずは簡単な本を流し読み. 本当にやさしかった.

45. 明日をどこまで計算できるか?――「予測する科学」の歴史と可能性 / デイヴィッド・オレル

カオス系の本ではあるのだけれど, 注目しているのは「モデル」の話. たくさんの事例出した後に主張を分かりやすくまとめてくれるので, 内容がずっしりと頭に入ってきます. 高校までの勉強だと予測可能なラインまでしか扱わないのが残念.

46. C++実践プログラミング / スティーブ オウアルライン

C++はやさしくないので, もう少し踏み込んだ勉強を. 内容はもう古いみたいだけど, 研究用のコードにすごく役に立った.

47. Beyond Interaction[改訂第2版] -クリエイティブ・コーディングのためのopenFrameworks実践ガイド / 田所 淳 #購入

クリエイティブ系の人間ではないけれど, せっかくC++勉強したのだから表現の武器も身につけたいなと思い. 分かりにくいことをやっているからこそヴィジュアライズは大事.

48. 鋼鉄都市 / アイザック・アシモフ

ロボット工学三原則で有名なアシモフです. この本で描かれているような窮屈な最適化の社会にはなってほしくないなぁ.

49. 機械学習と深層学習 ―C言語によるシミュレーション― / 小高知宏

理論は知っているんだけど, 書いてみないとやっぱり実感が湧かない. ということでフルスクラッチで流行りの技術のベース全部抑えちゃうよっていう良本. もうC言語ではやりたくない笑.

50. ガイドツアー 複雑系の世界: サンタフェ研究所講義ノートから / メラニー ミッチェル

GEB (ゲーデル・エッシャー・バッハ)を書いたホフスタッターに教えを受けた方による複雑系のガイド本. 非常に幅広い議論から共通の科学を作ろうとする複雑系にはなんとなく惹かれているんだよねー. 掘り出し物.

51. アイ・ロボット / アイザック アシモフ

ロボット工学三原則の威力を知りたければこれを読めばOK. ルールを決めると世界観が作ることを示した好例. 読んでいて楽しかった.

52. 人工知能の創発 知能の進化とシミュレーション / 伊庭 斉志

複雑系のガイド本を実際にコードに落としたような本. あまり面白みはなかった.

53. 進化計算と深層学習 -創発する知能 / 伊庭斉志

人工知能の勉強を 2017 年もちょっとしてみたわけだけど, やっぱりこの分野好きになりきれないというか. そういうアプローチで僕が知りたい「知能」に辿り着けるのかかなり疑問. そんな猜疑心を僕に植え付けた本.

54. フンボルトの冒険 自然という〈生命の網〉の発明 / アンドレア・ウルフ

忘れられた巨人・フンボルトの伝記. フンボルトに敬意は示すが, この作者, 科学を語るのはあまり得意ではない印象をもったのと, イメージ操作しすぎ.

55–58. WIRED VOL27. 「Before and After Science サイエンスのゆくえ」/ VOL28. 「Making Things ものづくりの未来」 / VOL29.「African freestyle ワイアード、アフリカに行く」 / VOL30. 「Identity デジタル時代のダイヴァーシティ 〈わたし〉の未来」 #購入

WIRED, 紙面版がなくなっちゃいましたね. 以前と比べて内容に大きな影響を受けることは少なくなったんですが, 相変わらずエッジが効いていて一番好きなメディアでした. 紙面版打ち切りを知らせる手紙には一枚の絵が入っていて, そういうところが最高にクールだった.

もちろん, これ以外にも触れた本はたくさんあるし, 僕のインプットの一部でしかない. でも, 興味の遷移をよく現しているなぁと改めて. 2018 年こそは 100 冊を!笑

--

--